ドラマ「陸王」で考える「お金の真実」

『貯金0でも「お金に強い女」になれる本』の執筆時からハマっているのがドラマ「陸王」。

お金と幸福、そして働きがいについて考えさせられるドラマです。

第9話では、M&Aを仕掛けられた”こばせ屋”の4代目社長、宮沢紘一(役所広司)は「倒産寸前の零細企業のこはぜ屋が夢を叶え、再建を果たすには、潤沢な資金を持つグローバル企業の買収提案を受け入れるのが最善の策かもしれない」と心が揺れ動く様が描かれていました。

しかし100年続いた暖簾、共に暖簾を守り抜いて来た従業員の訴えや働く姿を見るうちに、「会社を売らなくてもいい方法はないか?」と考え始めます。そして、ラストシーンで「買収ではなく、業務提携ではどうでしょうか?」と買収提案をしてきたフェリックスに話を持ちかけます。

フェリックスの御園生社長(松岡修造)はM&Aを繰り返すことでビジネスを拡大して来た効率化思考の起業家。当然、反対し「業務提携なんてしなくても、うちと一緒になれば簡単なんです」といいます。

ところが、宮沢は「その簡単さが私を惑わせるんです」と切り替えしました。

100年続いた暖簾を引き継いだ主人公は、「ビジネスや取引が簡単だからこそ悩む」と言いました。

この言葉に、私は未来のお金の姿が込められているように思いました。

私たちがお金を信用するのは、1万円を出せば1万円以下の商品と交換できると信じているからです。そして 人間が「貨幣」という名のお金を発明したのは、相手が信用できるかどうか確認する手間を不要にするためです。

そうすることで、モノやサービスの交換がスムーズに行われ、お金回りがよくなり、景気がよくなる。 そうすれば、全員が豊かになれる。経済が拡大するからです。

しかし同時に、私たちは簡単さ、便利さと引き換えに「時間の密度」を差し出してきました。

たとえば、コンビニでの買い物は便利です。けれど、コンビニの店員さんと会話やつながりは生まれません。お金とモノを交換して終わりです。そのことに気づいたコンビニはイートインスペースを作り、コンビニで過ごす時間の体験を提供し始めました。

もちろんコンビニが流行ったのは、馴染みの店に買い物に行くと挨拶や会話が必要になる。他の店の方が安くても、付き合いがあるから遠慮して買えないなど、しがらみによる非効率性から解放してくれたから。

しかし時代は変わり、今は多くの人が「つながり」や「共感」を求める時代になりました。

何年も前から「コト消費」と言われ、海外から日本に来る旅行客にも日本文化を経験できる「コト消費」が人気です。

私たちは便利さだけではなく、体験も求めるようになりました。 いやむしろ、便利になればなるほど、時間を節約でき、時間が余ってくる。 その余った時間を私たちは「思い出」になるような体験に変えたいと望むようになります。

私たちがお金を求めるのは幸せになるためです。

では幸せとは何か?

それは「時間の質」だと思います。

今日1日を、明日の勤務時間を、デートの時間を、どんな感情で満たしたいのか? 自分が感じたいと思う感情で満たされた時間が幸福であり、人生の豊かさです。

今、お金の価値がどんどん下がいってますが、それは私たちが便利さよりも、時間の質、つまり、どんな経験に時間を使うことが幸福なのか?を考え始めたからだと思います。

こばせ屋の社長は、そのことを皮膚感覚で知っているから悩んだのでしょう。

あなたも「給料と仕事のやりがい」や「業務マニュアルと顧客への想い」、「売れる商品作りとこだわりの商品作り」の狭間で、似たような悩みを持っているかもしれません。

お金を求めるのが幸せのためならば、判断基準は売り上げでも、収入でも、便利さでもなく、「どんな選択をすることが、自分にとっての幸福なのか?」という答え。お金は幸福になるための1つの手段に過ぎないからです。

この答えを判断基準にして、お金と時間を使えば、あなたの幸福度は間違いなく上がっていくでしょう。

少し未来の話になりますが、SNSでの投稿が蓄積されれば、あなたがどんな経験をしてきた人なのかが誰にでもわかるようになります。ブロックチェーンに代表されるテクノロジーが進化すれば、すべての取引とその経験が信用化されるでしょう。

世の中がそんな方向に大きく動き始めれば、価値を持つのはお金ではなく、あなたの経験。

するとお金そのものが不要になり、「お金がなくなる日」がくるかもしれませんね。

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